まほうつかいのうた/神酒の街の魔法使い
神酒の街の一等地、
目には見えないドアの奥、
おとぎ話に語られる、
魔法使いの酒場です。
血潮珊瑚の眼の色と、
黒檀よりも黒い髪、
やさしく笑んだ唇に、
妙なる調べの言葉たち。
魔法使いのシャイロック、
酒と愛とを振る舞って、
変わりゆく世を眺めては、
煙をぷかりとふかします。
誰にも靡かぬ紅薔薇の、
日々をがらりと変えたのは、
ある夜土足でやってきた、
すみれの髪の学者様。
今宵も酒場は盛況で、
店主はみなの人気者。
ソファにくるりと丸まった、
猫がにゃあんと鳴きました。